事業を始めたら1ケ月以内に、所轄の開業届を提出することが法律で決まっています。
まだ、提出していない方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
一見、難しそうに思う開業届ですが、実際に手続きしてみると、意外に簡単です。
しかし、記入時に注意するポイントもあります。
提出した後に、後悔しないように、そのポイントも含め、開業届の書き方をご紹介します。
入手先・必要書類・記入例・提出方法も紹介します。
開業届の概要
開業届の書き方の前に、開業届の概要について、少し、ご紹介します。
1.開業届とは
開業届とは、正式には『個人事業の開業・廃業等届出書』のことですが、個人事業の開業・廃業などを税務署に申告するための書類です。
事業の開始等の事実があった日から1ケ月以内に、所轄の税務署に開業届を提出するよう、法律で定められています。
2.開業届を出すメリット・デメリット
開業届を出すメリットは、下記4つといったところでしょう。
- 正式に個人事業主を名乗れる
- 青色申告による節税
- 屋号付き口座を開設できる
- 節税につながる制度を利用できる
逆に、デメリットは、以下のようなことが考えられます。
- 手続き・記帳・確定申告などの手間がかかる
- 失業保険がもらえない
- 税金・社会保険の扶養から外れる可能性がある
- 確定申告をしていないのがバレやすい
個人事業をされる方は、メリット・デメリットを吟味し、各自のしかるべきタイミングで、提出しましょう。
なお、開業届を出すメリット・メリットについて、もっと詳しく知りたい方は、「開業届を出すメリット・デメリット」をご覧ください。
3.開業届の入手先と必要書類
開業届は、国税庁のホームページからダウンロードできます。
提出用と控用の2枚になっています。
なお、開業届を提出の際には、本人確認書類の提示、または本人確認書類(写)添付大台紙に、本人確認書類の写しを添付し、提出する必要があります。
本人確認書類については、以下の通りです。
- マイナンバーカード(個人番号カード)
- マイナンバーを確認できる書類+身元確認書類
または
※マイナンバーを確認できる書類:
通知カード、住民票の写し、住民票記載事項証明書などのうち1つ
※身元確認書類:
運転免許証、公的医療保険の被保険者証、パスポート、身体障害者手帳、在留カードなどのうち1つ
4.開業届の提出方法
開業届を作成の上、提出先である納税地を所轄する税務署に持参または郵送して下さい。
納税地を所轄する税務署については、国税庁ホームページの国税局の所在地及び管轄区域にて、ご確認ください。
税務署の受付時間は、8:30~17:00までです。(お昼休みでも受付しているようです。)
なお、開業届の手続きに手数料などの費用はかかりません。
開業届の記入例(見本)
開業届の記入例(見本)です。開業の場合、赤枠で囲んだ部分を記入します。
開業届の書き方
では、開業届の書き方を順を追って、ご説明します。
記入は、手書きしても、PDFに直接記入しても、どちらでも構いません。
しかし、PDFに記入した方が控えにも転記されますので、手間がかからないかと思います。
①届出書の内容の選択
まず、開業・廃業のどちらの届出書なのかを選択します。
届出書のタイトルの『開業』を〇で囲んでください。
②所轄の税務署名と提出日
所轄の税務署名を国税庁ホームページの国税局の所在地及び管轄区域で確認し、記入します。
提出日は、税務署に行く日、または、郵送する日を記入します。
③自宅や事務所などの住所・電話番号
一般的には、住民票がある住所地を納税地に記入。
住民票がない現住所(居住地)、事務所を納税地にすることも可能。
別途、納税地以外に事務所などがある場合は、上記以外の住所地・事務所等の欄も記入。
電話番号は、携帯電話でも可。
④氏名・生年月日
氏名・生年月日を記入し、押印します。
印鑑は、個人のものでも、屋号印でも構いません。
⑤マイナンバー(個人番号)
マイナンバーを記入します。間違いのないように注意しましょう。
なお、マイナンバーは、PDFに直接記入しても、控えに転記されないようになっています。
⑥職業
職業を記入します。職業が複数ある場合は、複数記入しても構いません。
現在はしていなくても、将来を見据えて記入してもよいかと思います。
基本、職業は、どのように記載しても結構です。
しかし、事業所得が290万円以上になるとかかる個人事業税の税率は業種により異なります。
例えば、アフィリエイターの場合、インタネット広告業やWebデザイナーと記載すれば、税率が5%、文筆業と記載すれば、個人事業税がかからないといったことにもなります。
事前に、お住まいの自治体の個人事業税の税率を確認しておいた方がよいかもしれません。
また、国民健康保険よりも、保険料が安くなることが多い国保組合の利用も見据えて、加入できる職業名にしておくのもよいかと思います。
⑦屋号
屋号は無記入でも可です。必須ではありません。
但し、屋号付き口座を開設したい方は記入しておきましょう。
口座開設のための必要書類に、多くの場合、開業届の控えのコピーが必要になります。
⑧届出の区分
開業の場合は、「開業」を〇で囲みます。
⑨所得の種類
該当する所得の種類を選択します。
⑩開業日
開業日を記入します。特に、決まりはないので、自由で設定してください。
⑪開業に伴う届出書の提出の有無:青色申告承認申請書
青色申告承認申請書を提出する場合は「有」を選択。提出しない場合は、「無」を選択。
⑫開業に伴う届出書の提出の有無:消費税に関する「課税事業者選択届出書」
開業当初は免税のため、通常「無」を選択。
⑬事業の概要
事業の詳細を記入。何をしているかわかるように、具体的に記入します。
⑭給与等の支払いに関する項目
従業員を雇う場合のみ記入します。青色申告事業専従者の給与は経費として計上できます。
源泉所得税の納期の特別の承認に関する申請書の提出の有無は、源泉徴収を毎月ではなく、年2回にまとめる特例の申請承認書を提出する場合は「有」を選択します。
個人で事業を行う場合は記入は不要です。
いかがでしょうか。
開業届の書き方は、職業欄に注意がいるくらいで、意外と簡単ではないでしょうか。
税務署に提出に行っても、あっさりと手続きが終わり、拍子抜けするくらいです。
開業届の提出は、個人事業主には必須です。
ササッと記入して、しないといけないことは済ませておきましょう。
なお、開業届の控えは、後から様々な手続きで必要になります。大事に保管しておきましょう。