個人で事業されている方、開業届は提出していますか。
中には、出していない方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
個人事業主に、開業届の提出は必要です。
売上がなかろうと、副業であろうと、関係ありません。事業を始めたからには必要です。
主婦でも、会社員でも、開発届は出せます。それも、簡単に。費用もかかりません。
そういう私も、先日、開業届を出してきました。まだ、なんの利益も出てませんが…。トホホ
「そろそろ、このブログの広告収入が入るのでは?」、「個人事業主であることを宣言した方が、よい方向に進むのでは?」という淡い期待のもと、そそくさと提出してまいりました。
でも、出した後に「しまった!」と後悔しないように、事前に、開業届を出すメリット・デメリットを把握することも大切です。
これからという方のために、開業届を出すメリット・デメリットをシェアさせていただきます。
開業届とは
開業届は、正式には『個人事業の開業・廃業等届出書』と言います。
個人事業の開業・廃業などを税務署に申告するための書類です。
法律では、事業の開始等の事実があった日から1ケ月以内に、管轄する税務署に開業届を提出することになっています。といっても、提出しなくても、特に、罰せられることはありません。
しかし、自ら、法律違反をするのも、あまり気持ちのよいものではないですよね。
開業届は、それぞれのしかるべきタイミングで、速やかに提出しておきましょう。
開業届を出すメリット
では、開業届を出すメリットとは何でしょう。
メリットとしては、以下の4つがあります。
1.正式に個人事業主を名乗れる
開業届を出す、まず、一つ目のメリットは、『正式に個人事業主を名乗れる』です。
会社員で副業で事業している場合は、あまりメリットに感じないかもしれせん。
しかし、会社を退職して起業する場合などでは、開業届を出さない限りは、無職ですからね。
いくら事業を軌道に乗せようと頑張っていても、社会的には、そういうことになります。
何か手続きをする時も、職業を記入しないといけないことも、ざらです。
正式に個人事業主を名乗れることは、社会的信用を得ることにつながります。
本人のモチベーションも上がるのではないでしょうか。
2.青色申告による節税
開業届を出すメリットの二つ目は、『青色申告による節税』です。
節税効果の高い青色申告にするには、開業届を出した後、『所得税の青色申告承認申請書』を提出が必要です。
青色申告では、『青色申告特別控除』により、簡易簿記で年間10万円、複式簿記で年間65万円の控除を受けられます。
つまり、所得から控除分の金額を引くことができるので、所得にかかる税金も安くなります。
といっても、赤字は、控除の対象にはなりませんが…。
他にも、身内に払った給与を経費にできる『青色専従者給与』や、3年間、赤字を翌年に繰り越せる『純損失の繰り越し控除』なるものもありますので、さらに、節税になります。
しかも、記帳の手間は、青色申告の簡易簿記と白色申告とでは、大差ありません。
白色申告するくらいなら、青色申告の簡易簿記にした方が、お得です。
節税効果の高い複式簿記は、記帳が複雑ですが、会計ソフトを使用すれば、初心者でも対応可能です。但し、本業でないとダメのようです。
3.屋号付き口座を開設できる
開業届を出すメリットの二つ目は、『屋号付き口座を開設できる』です。
顧客と、直接、取引する場合には、個人名よりも、屋号があった方が社会的信用が高いです。
しかし、屋号付き口座するためには、開業届の控えのコピーが必要になります。
屋号付き口座を開設したい方は、開業届の屋号欄を記入し、提出しておきましょう。
4.節税につながる制度を利用できる
『節税につながる制度を利用できる』のも、開業届を出すメリットの一つです。
小規模企業共済や国保組合など、節税につながる制度を利用しようとすると、確定申告や開業届の控えのコピーの提出を要求されることが多いです。
小規模企業共済は、小規模企業の事業主や役員のための退職金制度のようなもので、掛金を全額所得控除できる上、貯蓄もでき、事業資金の借入れもできる、お得な制度です。
国保組合は、職能団体が運営している国民健康保険の組合です。例えば、文筆業や美術関係のお仕事をしている場合には、文芸美術国民健康保険組合などがあります。
国保組合の多くが定額のため、ある程度、収入がある場合は、国民健康保険よりも、保険料が安くなることが多いです。
これらを利用したい方は、開業届を出していた方がよいかと思います。
国保組合の場合は、職業欄の記入内容も、よく検討しましょう。
開業届を出すデメリット
次に、開業届を出すデメリットをご紹介します。
デメリットとしては、以下の4つが考えられます。
1.手続き・記帳・確定申告などの手間がかかる
開業届を出すデメリットの一つ目は、『手続き・記帳・確定申告などの手間がかかる』です。
開業届の他、青色申告にしようと思えば、『所得税の青色申告承認申請書』の記入・提出する手間がかかります。
さらに、最大65万円の青色申告特別控除を受けようと思えば、複式簿記になりますので、記帳の手間も増えます。所得に関わらず、確定申告も必須です。
通常、専業は年間38万円以下、副業は年間20万円以下の所得であれば、確定申告は不要です。
「まとまった収入も見込めないし、確定申告は面倒だし…」という方は、無理に複式簿記にする必要がありません。
しかし、無申告は、所得が不明の場合の一定額が適用されるため、逆に損する可能性が高いです。確定申告して、収入が少ないことを報告した方がよいのではないでしょうか。
2.失業保険がもらえない
開業届を出すデメリットの二つ目は、『失業保険がもらえない』です。
失業保険は、失業状態で、就職する気がある人じゃないと、もらえないですからね。
開業届を出して、個人事業主になっていれば、事業をしているので、失業保険はもらえません。
会社を退職して、失業保険をもらわなくても、生活に困らない場合はよいですが…。
会社員で、副業している人は注意が必要です。
3.税金・社会保険の扶養から外れる可能性がある
開業届を出すことによって、税金(所得税・住民税)や社会保険(年金・健康保険)などの『税金・社会保険の扶養から外れる可能性がある』というデメリットもあります。
通常、税金は、年間所得金額が38万円(配偶者特別控除は38~76万円)未満、社会保険は、年収が130万円未満であれば、扶養の範囲です。それ以上は、扶養から外れます。
しかし、夫や親など、世帯主の加入している健康保険によっては、所得に関わらず、個人事業主になると、保険料を負担しなくてはならない場合もあります。
現在、扶養に入っている方は、注意が必要です。事前に、よく確認しておきましょう。
4.確定申告をしていないのがバレやすい
開業届を出すデメリットの二つ目は、『確定申告をしていないのがバレやすい』です。
開業届により、事業をしていることを税務署が把握します。
当然、確定申告をしていないことも、すぐにバレます。
しかし、当然の義務は果たすべきです。
いかがでしょうか。以上が、開業届を出すメリット・デメリットです。
少しでも、お役に立てれば幸いです。
なお、これから開業届を出される方は、「開業届の書き方」を参考にしていただければと思います。