認め合う二人のビジネスマン

自分を認めるのも難しいですが、嫌いな相手を認めるのも難しいですよね。

でも、どちらを優先するべきかと言えば、自分を認めることが大切だと思います。

なぜなら、自分を認めていない人は、他の人を素直に認めることは難しいからです。

ところで、「主成分分析」という統計手法をご存知でしょうか?

1901年に、イギリスの数理統計学者カール・ピアソンによって開発された多変量解析の手法。

簡単に言えば、複雑なものを要約し、理解するためのツールです。

仕事で、統計の研修に参加した際に、主成分分析を知った時は、いたく感動しました!

…と言っても、統計手法として感動したのではなく、この考え方は、自分や他人、また、世の中を理解するのにも使えそうと思ったからです。

どういうことか、よくわからないと思いますので、順を追って説明したいと思います。

2つの長方形をグラフにしよう

例えば、x軸を幅、y軸を高さとして、幅が5㎝、高さが3㎝の長方形を2軸のグラフに表すと、どうなりますか?

同様に、幅が2㎝、高さが4㎝の長方形の場合は、いかがでしょうか?

長方形を示すグラフ

上のグラフのようになるかと思います。

簡単ですね。

リンゴとバナナをグラフにしよう

では、リンゴとバナナをグラフに表すと、どうなりますか?

そう言われても、困りますよね。

リンゴとバナナには、いろいろな要素があります。
それに、それぞれの要素に対する値がわからないとグラフは書けません。

では、糖度と硬さに注目し、x軸を糖度、y軸を硬さにすると、いかがでしょうか?

糖度、硬さの値があれば、グラフにできるでのはないでしょうか。

しかし、糖度と硬さだけでは、糖度や硬さに興味のない人にとっては、意味のないグラフ。

それに、リンゴとバナナの全体像を表しているわけではありません。

リンゴとバナナの全体像を表そうとすると、色、形、味、価格、鮮度、産地など、他にも、もっとたくさんの軸が必要です。

しかし、これをにグラフにするのは難しいですし、読み取るのも至難の業です。

主成分分析のあらまし

そこで、登場するのが主成分分析です。

ある複数の情報(軸と値)を持ったデータがあり、それをグラフにすると、下のような雲のような塊になったとします。

但し、軸は、本当は、様々な方向に複数に存在しますが、省略しています。

また、塊は、奥行きのある立体的なものとイメージしてください。

情報の雲イメージ

このままの状態で、このグラフを読み取るのは難しいですよね。

そこで、主成分分析では、一番、情報量の多い断面を見て情報を読み取るのです。

つまり、先程の長方形のグラフのように、2軸の平面のグラフにしてデータを読み取ります。

具体的には、一番、情報量の多い所に軸(第1主成分)を取り、その軸と垂直に交わる所に2つ目の軸(第2主成分)を取ります。

イメージするとすれば、キュウリを情報の塊として、中の種の部分をデータとします。

このキュウリから、より多くの種を見ようとしたら、縦方向に切るとよいですよね。

その断面の縦方向と横方向に軸を取り、その状況を読み取るといった感じです。

主成分分析の第1主成分・第2主成分のイメー

そうしてできた2軸のグラフのデータを読み取ります。

そこに、例えば、先程のリンゴとバナナを示すデータもあったとすれば、その2つの軸を頼りに、リンゴとバナナがどういうものか、概要を読み取ることができるのです。

ちなみに、2つの軸が何を意味しているかは、軸の近くにあるデータを元に推測します。

主成分分析の結果イメージ

また、グラフの見方ですが、近い位置にあるものは似ているということになります。

そして、この2つの軸が気に入らなければ、他の軸に変更可能です。

つまり、自分が見たい断面から、その情報が見れるということです。

これって、すごくないですか?

この考え方を人間に置き換えてみると、こう言えるのではないでしょうか。

私たち人間は、自分が知っている情報(知識・経験など)をもとに、無意識、あるいは、意識的に軸を取り、世の中を見ていると言えないでしょうか?

これは、自分や他人など、人間を見る場合にも同様です。

だとすれば、情報量(知識・経験など)を増やしたり、見る軸(視点・角度)を意識的に変えれば、見えるもの(世界観・人物像)も変わるということです。

また、近い位置にあるものは似ているというのは、諺の”類は友を呼ぶ”を表しているようです。

似た者同士は、同じような軸で、同じような位置におり、同じような景色を見ているので、理解しやすいのでしょうね。

では、真逆の位置にいる人は、どうでしょうか?

同じ軸、つまり、同一線上にはいますが、遠い位置にいますし、視点が真逆なので、見えにくい(理解しにくい)といったところでしょうか。

物事を真逆から見ているので、自分の位置をプラス(正)にすれば、相手がマイナス(悪)

互いが、自分が正しいと主張すれば、対立する仲となります。

これは、見方によって正解は異なるということを表しているようにも思えます。

主成分分析に見る人間関係

これを人間ではなく、世の中に置き換えても、情報量(知識・経験など)や見る軸(視点・角度)が変われば、見る世界が変わるということかもしれませんね。

これは、パラレルワールド(平行世界)を表しているのかもしれません。

私たちは、無数にある世界から、意識を向けた軸で一つの世界を選択し、その世界を見ているのかもしれません。

自分が見ている世界が気に入らなければ、情報量(知識・経験など)を増やしたり、意識的に見る軸(視点・角度)を変えるとよいのかもしれません。

そういう意味では、私たちは、無限の可能性を持った存在かもしれませんね。

今、自分を認められない方、また、他の人を認められない方は、見える世界(現実)を変えるために、自分や相手に対する情報量(知識・経験など)を増やしてみませんか?

また、意識的に今までとは違った軸(視点・角度)から、自分や相手を見てみませんか?

何か新しい発見があり、自分や相手を認めたり、許すことができるかもしれません。

この考え方が、どなたかに少しでもお役に立てれば、幸いです。