会社員イメージ
社会に出たら、会社勤めで、安定した仕事に就く。世の中のお決まりのコースで入った会社は、楽しいことよりも、ストレスに感じることの方が多いという人も多いのではないでしょうか。
学生時代は、ストレスとは無縁だった私も、”会社員”という名の社会人になり、どっぷりと、ストレス生活に身を置くことになりました。それでも、随分と長く耐え続けましたが、ついに限界が来て、退職。
でも、会社を辞め、振り返ってみると、悪いことばかりでもなかったぁと思います。
会社という組織で働いたからこそ、得たこともあり、これはこれで、良い経験になったと思っています。だからと言って、あまり、戻りたいとは思いませんが…。

会社員生活に限界を感じ、会社を辞めようかを考えている方、また、会社に就職するか悩んでいる方のために、辞めて感じた「会社員として得たこと」を5つ、紹介させていただきます。
 

 

会社員として得たこと

①知らない自分の発見

会社に入ると、自分の好き嫌いや、得手不得手に関係なく、仕事が割り振られます。
でも、そのお陰で、自分では苦手と思っていたことも、勘違いだったいうこと、逆に、思いもしないことが、苦手だったということも、多々ありました。
私は、小さな頃から、絵を描いたり、何かを黙々と作ることが好きでした。なので、自分は、人相手の仕事よりは、黙々と作業を行う仕事の方が向いていると思っていたのです。
しかし、会社に入ってすぐ、任せられた仕事は、新商品の試作品をお客様に使っていただき、意見や感想を聞くという仕事。
「えー、もろ人相手じゃん。大丈夫かな…」と、最初は、不安になりました。
しかし、いざ、やってみると、意外と、すんなりできる自分がいて、驚き!しかも、お客様からの受けがいい気がする???
半信半疑のまま、その業務を続けていると、「あなた、この仕事にピッタリね!天職じゃないの~」とまで言われるまでになり、人間、わからないものだと思いました。
他にも、自分はのんびり屋だと思っていたら、意外と、せっかちだったりとか、大人しい地味なタイプかと思っていたら、意外とアクティブで目立っていたりとか…。
ここまで、自分を勘違いする人も、珍しいかもしれないと、途中から、自分の思い込みに呆れていましたが…。
会社員という立場で、否応なく仕事をこなし、また、自分とは、個性の異なる同僚がいたからこそ、知らない自分を発見できたと思っています。

 

②人間関係の難しさと対応力

会社という組織の中には、様々なタイプの人がいます。そして、それは、家族や学校といった人の集まりとは、また、違った関係性を持っています。一緒に仕事をしていく仲間でもあり、ライバルでもあるのです。
ライバルと言えば、学校も、友人であり、ライバルである関係ですが、学校のライバルは、主に、成績上のライバル。もしくは、人気、恋のライバルで、そこには、お金は絡んでおらず、生活はかかっていません。
会社という組織の中のライバルは、仕事の評価、昇格、給与、賞与と、お金、生活に関わるものであるため、熾烈です。
誰かが、昇格したりすると、昨日まで同じ立場だった人が、自分より上になったり、場合によっては、自分よりも、年齢が若い人や、勤続年数が浅い人が、上司になることもあります。
また、個人的な仕事の出来不出来、仕事の成果が、評価、待遇、昇格などに、適切に反映されているものでもありません。
入社年度、性別、学歴の他、一般職と総合職、正社員と派遣社員といった雇用形態の違いなどにより、実力に関係なく、最初から差がついていたり、それに、上司からの受け、好き嫌いなども加わります。
そして、複雑で、正当とも言えないような人事制度に、様々な思いが絡み合い、それをもとに、複雑な人間関係が構築され、その中で、人間の嫌な面も、浮き彫りになってくるのです。
会社の規模が大きくなるほど、人の数も増え、より複雑さも増し、より熾烈な、競争社会になります。その中で、円滑な人間関係を築くのは、至難の業です。
真面目で、お人好しな人ほど、報われないことも多く、その中で、人間不信になったり、挫折感に、さいなまされて、心の病になる人も、珍しくはありません。
私は、もともと、人当たりは良い方ですが、それでも、会社組織の中に入ってみると、複雑な人間関係に悩まされ、嫌な思い、大変な思いも、たくさんしました。
「真面目に、こんなに頑張っているのに、何で、こんな目に遭わないといけないの?」「何も悪いことしていないし、むしろ感謝されてもいいくらいのに、何で、こんなことされるのだろう」と、いろいろ思ったものです。
でも、だからこそ、鍛えられ、様々な人にも対応できる、対応力がついたと実感しています。

 

③今の社会に対する気づき

会社組織は、社会の縮図とも言えます。
その中は、”ヒエラルキー”というピラミッド型の階層構造になっており、多くの人が、そのピラミッドの底辺を担うことになります。上の階層へと上がれる人は、一握りの人々です。
そして、その一握りの人達は、”仕事もでき、人間的にも尊敬できる人”とは限りません。中には、自分が、一握りの人になるために、人を出し抜いたり、足を引っ張ったりという人もいます。
ピラミッド型の階層構造が、より人間関係を複雑にし、ストレスを生んでいるとも言えます。
また、会社という組織のもとでは、異なる環境で、人生を歩んできた、様々な価値観の人達が、仕事という生活費を稼ぐ手段のために、一日の多くの時間を費やします。
そこでは、平等というものよりも、権力のあるもの、強いもの、要領のよいものが優遇され、真面目にコツコツ頑張って成果を上げた人や、仕事仲間が気持ちよく働けるようにと気を配った人が、評価を得るというものでもありません。
よく、学校で、イジメの問題が取り沙汰されたり、道徳の時間には、”差別はいけない”ということを教えられますが、会社や、社会の中では、イジメや差別に値するものが、公然とされ、それをイジメとも、差別とも感じないマヒした状態となっています。

子供たちに、アレコレ言う前に、私たち大人が、自分の属する組織を見直し、その集合体である社会を、”みんなが居心地の良い社会”へとすべきではないか、そうすれば、学校で、道徳の時間を使って「差別はいけません」「平等にしましょう」と、わざわざ教えなくとも、子供たちは、周りの大人や世の中から、自然と学んでいくのではないか…。会社という組織にいたことで、そのことに、気づかされたように思います。

 

④仕事や人間関係に対する知識・技術の習得

仕事をするためには、様々な知識や技術が必要です。
それまでに、学校で、様々なことを学んできたとしても、社会に出て、仕事をするには、また、違うことも、学ばなければいけません。直接、仕事に関する知識・技術もそうですが、人と円滑な関係を築き、仕事を上手く回す技術も必要です。
それは、会社という組織に限らず、仕事をする人なら、誰でも必要と言えますが、会社という組織では、特に、人間関係に関する知識・技術は、重要です。
会社には、様々な部署があったり、様々な個性を備えた人々がいて、仕事をするには、お互いに関わりながら、うまく仕事をこなすことが必要だからです。
でも、例え、最初は、円滑な人間関係を築けなくても、そこで、様々なことを学ぶうちに、習得することは可能です。仕事をこなせば、こなすほど、また、多くの人と、関われば、関わるほど、より短期間に、身に付けることが可能かと思います。
また、仕事に関する知識・技術も、会社員なら、より幅広く、そして、短期間のうちに身に付ける必要もあります。
特に、大きな会社では、人事異動で、仕事内容が変わることも多いため、一つのことをじっくり深く追求することも大切ですが、短期間のうちに戦力になるよう、知識や技術を身につけることも、要求されます。

そういったことも、後から、思い返すと、自分を成長させる良い経験になったと思っています。

 

⑤会社・組織の利点・欠点の認識

会社という組織にいたからこそ、会社・組織というものの利点・欠点がわかります。
人から聞いたものと、実際に経験したものとでは、随分、印象も違いますし、重みも違います。
もし、私が、絵を描くのが好きだからと、好きなことを仕事にし、画家になっていたとしたら、それを知ることもできなかったし、経験することもできませんでした。
今の世の中、いろいろな職業がありますが、会社員として働いている人が一番多く、そういった大衆の意識、価値観を知ることも、生きている上でも、仕事をする上でも、大切なことです。
多くの人が、「何を感じ、どう生きているのか」「どうしたいと考えているのか」「何に喜びを感じ、何に不満を感じているのか」「どういうことに、興味を持っているのか」etc…。
それを、今の仕事に生かされることもありますし、その後の人生や仕事に活かされることもあるかと思います。
多くの仕事が、その仕事の対象は、一握りの富裕層ではなく、その他、大勢の大衆です。
大衆の心を掴むことが、仕事の成功に関わると言っても過言ではありません。

そういう意味で、一会社員として、会社・組織の利点・欠点を知ること、経験することも、そんなに悪いことでもなかったかなぁと思う、今日この頃です。
 

 
いかがでしょうか。
今、会社に就職するか悩んでいる方、また、会社を辞めて、独立の道を歩もうとしている方々などに、少しでも、ヒントになればと思います。

しかし、どの道を選択しても、間違いということはないと思います。必ず、何か得るものはあるものです。「ここは、自分の居場所ではないなぁ」と思えば、選択し直せればよいだけです。
一つのことをじっくり追求することで、見えてくるものもあれば、様々な経験をして見えているものもあります。どちらが、優れているというものではなく、どちらも貴重な経験です。
私たちは、いろいろな経験をするために、生まれてきたのではないか、また、”自分とは、どういう人間なのか”、”自分は、何をしている時に喜びを感じるのか”を知るために、生まれてきたのではないかと思います。
自分のことは、自分が一番知っていると思いがちですが、そうとも限りません。
「大人しくて、いい子ね」「落ち着きがなくて、何の取り得もない子ね」と、誰かに言われ、それを信じ込んでいることもあります。

様々な経験をし、『自分を追求し、自分を幸せにする』ことを目標に、生きていきたいですね。一人一人がそれを追求し、また、お互いに、協力できるところは、協力し合えば、幸せに溢れた世の中になるのではないかと思います。